1台の自動車に20個以上のマイクロコンピュータが使われていることを知っていますか?自動車の中には,エンジン制御,変速制御,ブレーキ制御,エアバッグ,カーナビなどなどにコンピュータが使われており,省エネルギーや低排気ガス,安全性の向上になくてはならない働きをしています。
このように,外からは見えないが,機械の内部でそれを制御する役割を果たしているコンピュータシステムのことを,組込みシステムと呼びます。組込みシステムは,自動車だけに限らず,身の回りのあらゆるところで重要な役割を果たしており,その重要性はますます高まっています。
多くの組込みシステムに求められる要件として,リアルタイムに処理を行うことが挙げられます。リアルタイム処理とは,厳密には,「処理結果の正しさが,出力される結果値の正しさに加えて,結果を出す時刻にも依存するような処理」のことを言います。わかりやすく言うと,「いついつまでに結果を出さなければならないような処理」はリアルタイム処理ということになります。
自動車のブレーキを制御するコンピュータを例にとって,リアルタイム処理の必要性を説明しましょう。ここに,「99.99%の確率でブレーキをかけてから1秒以内に止まるが,残りの0.01%は止まるまでに10秒かかる自動車」と「必ず2秒以内に止まる自動車」があったとしたら,どちらに乗りたいですか?リアルタイム処理技術は,「必ず2秒以内に止める」ための技術なのです。
当研究室では,名前の通り,リアルタイム処理を求められる組込みシステムを実現する諸技術について研究しています。特に,組込みシステムを実現する基本的なソフトウェアとなるリアルタイムOSを中心的な研究テーマとしています。
また当研究室では,リアルタイムOSの標準仕様として広く使われているITRON仕様などの標準化活動に積極的に貢献する,企業との共同研究に加え技術交流会やワークショップを主宰するなど産業界との交流を活発に行う,開発したソフトウェアをフリーソフトウェアとして配付するなど,社会に開いた研究室を目指しています。
当研究室では,組込みシステムやリアルタイムシステムをマルチ・メニーコア上で 効率よく動作させるための諸技術について研究しています。組込みシステム向けの プロセッサも、いまや一つのLSIに複数のCPUを搭載したマルチコアやメニーコアに 進んできていますが、ソフトウェアが複数のCPUを効率よく使うことは一般には 簡単ではありません。当研究室ではそのための研究に取り組んでいます。
教授の枝廣は26年間産業界の研究所での経験を踏まえ、産業界との交流を重視し、 将来の産業につながる研究を目指しています。
次の4つのグループに分かれて,それぞれの研究テーマに取り組んでいます。
総合的な次世代リアルタイム組込みプラットフォームの姿を追求しています。
マルチ・メニーコアプロセッサ向けのアルゴリズムおよびツールや、OSに関する研究を行っています。
組込みシステムのソフトウェアとハードウェアの協調設計技術について研究し ています。
組込みシステムのサービス品質を保証しつつ,消費エネルギーを最適化する技術についての研究をしています。