研究室紹介

/ERTL/intro
Lastupdate:2013.4.18

高田・本田研究室では

当研究室は、「組込みリアルタイムシステム研究室(英名Embedded Real-TimeSystem Laboratory,略称ERTL)」という名前を掲げ、組込みリアルタイムシステムを実現するための諸技術について、ソフトウェア開発とハードウェア設計の両面から、更には両者を一体で設計する技術についても研究しています。現在の組込みシステムの多くはシステムLSI(大規模で高度な機能を持ったLSI)を用いて実現されており、ハードウェア設計についてはシステムLSI設計技術に注力しています。

また、産業界との連携を活発に行っていることも、当研究室の大きな特徴です。多くの企業と共同研究を実施していることに加えて、産学官の連携により組込みシステム向けの各種のオープンソースソフトウェアを開発するTOPPERSプロジェクトを推進しています。また、標準化活動への貢献、技術交流会やワークショップの主催といった活動にも積極的に取り組んでいます。その結果、当研究室の成果が産業界で実用化された事例も増えています。研究室に所属する学生も、これらの活動に積極的に参加しています。

主な研究分野

当研究室では現在以下の研究テーマに取り組んでいますが、これに限らず、組込みシステム技術の研究に幅広く取り組んでいきたいと考えています。

組込みシステムの高信頼化・安全・セキュリティ技術

高い信頼性が要求される組込みシステムを実現するための技術について研究しています。例えば、ロケットや人工衛星といった宇宙機向けの高信頼性のRTOSの研究開発を行っています。

TOPPERS/HRPカーネル

宇宙機向けの高信頼RTOS。宇宙研究開発機構 (JAXA)と協力して開発したもので、H-IIBロケット3号機に搭載され、2012年7月21日に打ち上げられました(プレスリリース)。

HRPカーネルを搭載したH-IIBロケット3号機の打ち上げ
(高田先生撮影)

TOPPERS/HRP2カーネル

HRPカーネルの後継版

組込みシステム向け仮想化技術

カーナビや工作機等の高機能かつ高信頼性が求められる組込みシステムを実現するための仮想化技術について研究しています。

TOPPRES/SafeG

デュアルOSモニタ。下記のデモでは、AndroidとRTOSを同時に動かしています。

マルチプロセッサ技術

パソコンやサーバーではマルチプロセッサは当たり前になっていますが、同様に組込みシステムにおいてもマルチプロセッサの利用が広がっています。この組込みマルチプロセッサのためのリアルタイムOS技術にして研究しています。

TOPPRES/FDMPカーネル

最初に開発したマルチコアプロセッサ向け RTOS。

TOPPERS/FMPカーネル

タスクのマイグレーションを可能にしたマルチコアプロセッサ向けRTOS。 SHARPの携帯電話に採用されました。

システムレベル設計技術

C言語で記述したプログラムからハードウェアを合成するための動作合成技術、ソフトウェアとハードウェアを一体で効率的に設計・開発するための協調設計技術、動作検証のための協調シミュレーション技術などについて研究しています。

組込みネットワーク技術

次世代の自動車内ネットワーク技術や宇宙機のネットワーク技術など、組込みシステム向けのネットワーク技術について研究しています。特に、与えられた時間内に通信が完了することを保証するリアルタイムスケジューリング技術などについて研究しています。宇宙機のネットワーク技術に関しては、宇宙研究開発機構(JAXA)と協力し、大学内にスペースソフトウェアプラットフォーム連携研究開発拠点を設置して研究を進めています(プレスリリース)。

低消費エネルギー最適化技術

ソフトウェアとハードウェアの両者を最適化することで、組込みシステムの消費エネルギーを削減するための技術について研究しています。

研究グループと主な研究テーマ

次の4つのグループに分かれて,それぞれの研究テーマに取り組んでいます。

PSCグループ

保護機能、セキュリティ、コンポーネントの観点から、総合的な次世代リアルタイム組込みプラットフォームの姿を追求しています。

仮想化・システムレベル設計グループ

組込みシステムのソフトウェアとハードウェアの協調設計技術と,組込みシステム向けの仮想化環境について研究しています。

ネットワークグループ

次世代の自動車内ネットワーク技術や宇宙機のネットワーク技術など、組込みシステム向けのネットワーク技術について研究しています。

研究室外活動

研究室内での研究活動だけでなく、研究室外の多くの活動に参加しています。

オープンソース活動 : TOPPERSプロジェクト

研究成果をオープンソースとしてまとめて公開しています。その他、研究室外の開発者との合宿や共同開発等も実施しています。これまで学生が中心となって開発したソフトウェアには次のものがあります。
  • TLV : トレースログの可視化ツール
  • ISS : TOPPERSカーネル向けシミュレーション環境
  • 競技活動

    学生の技術力向上のため、様々な競技活動に参加しています。必要な機材、参 加費、交通費は研究室が負担します。近年は次の競技活動に参加しました。
  • ETロボコン : 倒立ロボットのプログラムを開発して、ライントレース の走行時間とプログラムの設計を競います
  • Connect6 : 6木並べのプログラムをハードウェア(FPGA)により作成 して競います。
  • 進路

    多くの卒業生が組込みシステム関連の企業に就職しています。これまでの就職先の一覧はこちらにあります。また、博士後期課程に進学した学生は、卒業後に大学の教員や企業の研究者となっています。

    参考情報

    組込みシステムとは?

    1台の自動車に20〜100個ものコンピュータが使われていることを知っていますか? 自動車の中には、エンジンやブレーキ制御、エアバッグ、カーナビ、運転支援などなどにコンピュータが使われており、省エネルギーや排気ガスの低減、安全性や快適性の向上のために不可欠なものになっています。

    このように、機器・機械の内部でそれを制御する役割を果たしているコンピュータシステムのことを、「組込みシステム」と呼びます。組込みシステムは、自動車だけに限らず、携帯電話機や家電製品といった身近な機器から、産業用ロボットや人工衛星といった社会を支える機器まで、あらゆるところで重要な役割を果たしており、その重要性はますます高まっています。

    リアルタイムシステムとは?

    決められた時間内に確実に処理を完了することが求められるコンピュータシステムを、「リアルタイムシステム」と呼びます。機器・機械を制御する組込みシステムは、 リアルタイムシステムの場合が多く、このような組込みシステムを「組込みリアルタイムシステム」と呼びます。

    自動車のブレーキを完全にコンピュータで制御する場合を考えてみましょう。「ブレーキペダルを踏むと、ほとんどの場合に0.01秒以内にブレーキがかかるが、たまに1秒かかる自動車」には誰も乗りたくありません。「必ずX秒以内にブレーキがかかる」という保証が必要です。

    ところが現在のコンピュータは、リアルタイムシステムではないパソコンやサーバー向を対象としているものが多いため、与えられたプログラムの実行時間を正確に求めることは、容易ではありません。例えばキャッシュメモリを使うと、普段は高速に動くプログラムが、キャッシュミスした時には実行時間が長くなります。

    そこで、どのような場合でも制限時間内に処理を完了することを保証するための「リアルタイム処理技術」が必要になります。

    学生から見た研究室

    こちらへどうぞ.