研究プロジェクト

信頼を確かめ、説明する技術: ファジング・形式検証・保証ケース

3つの研究テーマに共通する土台として、作ったシステムが本当に信頼できるかを確かめ、その根拠を説明するための技術を研究しています。並行プログラムのファジング、形式手法による検証、セキュリティ分析、保証ケースなどが対象です。

信頼を確かめ、説明する技術: ファジング・形式検証・保証ケース

背景

組込みシステムのソフトウェアは規模が大きくなり、多数の処理が並行して動くものが増えています。こうしたソフトウェアでは、タイミングに依存してまれにしか現れない不具合が生じやすく、従来のテストでは見つけにくいという問題があります。

課題

安全性やセキュリティは「テストで問題が出なかった」というだけでは十分に説明できません。どのような根拠でシステムを信頼してよいのかを、体系立てて示す方法が必要です。

つまり課題は2つあります。めったに現れない不具合をどう効率よく見つけるか。そして、残ったシステムを信頼してよいことを、どう根拠付けて示すか、です。

不具合を見つける: ファジングと形式手法

ファジング(プログラムに自動生成した入力を大量に与えて不具合を見つける手法)を並行プログラムやミドルウェアに適用しています。スレッドの実行順序まで探索の対象に含めることで、通常のテストではめったに現れない並行性バグを効率よく見つけ出します。

また、セマフォを使った並行プログラムを論理制約付き項書換え系という数学的なモデルに変換し、その性質を厳密に検証する形式手法の研究を、プログラミング言語分野の研究者と共同で進めています。

弱点を分析し、根拠を示す: セキュリティ分析と保証ケース

車載ネットワーク(CAN)への侵入検知や、HAZOP を応用したセキュリティ分析など、システムの弱点を体系的に洗い出す手法を研究しています。

さらに、システムが安全・セキュアであることの根拠を構造化して示す保証ケース(アシュアランスケース)と、その定量的な評価との組み合わせにも取り組んでいます。

これまでの成果

ファジングの系列では、ミドルウェアへの Coverage-based Greybox Fuzzing の適用(情報処理学会論文誌, 2021)が特選論文に選ばれ、善吾賞を受賞しました。その後、スレッドの実行順序をフィードバック付きで探索する Schfuzz(ENASE 2023)、データレースに狙いを定めた Race Directed Fuzzing(WSSE 2024)へと発展しています。

形式手法では、セマフォを使う並行プログラムを論理制約付き項書換え系に変換する手法を、プログラミング言語分野の研究者と共同で確立しました(Journal of Logical and Algebraic Methods in Programming, 2025)。

車載セキュリティでは、ID ホッピングで CAN を守る IDH-CAN(IEEE Access, 2018)や集中認証方式 CaCAN(2014)といった防御から、グラフベースの侵入検知(CCNC 2026)まで、攻撃の検知と防御の両面で成果を挙げてきました。RTOS と連携する制御フロー保全機構 TZmCFI(International Journal of Parallel Programming, 2020)、HAZOP を応用したセキュリティ分析(Springer, 2016)、車載システムの定量的セキュリティ保証ケース(2021)など、分析から保証までを一貫して扱っています。

3つの研究テーマとの関係

このテーマは、組込みシステム、IoT、System of Systems という3つの研究テーマすべてに関わる横断的な技術です。対象のスケールが変わっても、「作ったものの信頼をどう確かめ、どう説明するか」という問いは共通しています。

この研究のうれしさ

検証の技術が進むと、人手のテストでは見つけられなかった不具合を出荷前に発見でき、製品の事故やリコールを減らせます。

さらに保証ケースを使えば、「なぜ安全だと言えるのか」を根拠付きで説明できます。開発者の自信だけに頼らず、利用者や社会がシステムを信頼するための共通の土台を作ることが、このテーマの目標です。

目指す姿

検証・保証の技術を、一部の専門家の道具から、ビルドやテストと同じように日常の開発に組み込まれる存在に変えることを目指しています。

ファジングや形式手法が自動で回り続け、その結果が保証ケースとして積み上がり、開発者・発注者・利用者の間の共通言語になる。そのための理論と道具立てを整えていきます。

今後の方向性とテーマの例

検証の対象は、並行プログラムから分散システム、機械学習を含むシステムへと広がっています。学生の研究テーマも、次のような方向性のなかから相談して決めていきます。

  • 並行・分散システムを対象にしたファジングの探索戦略の高度化
  • 組込みシステムシミュレータと組み合わせた、実機に依存しないファジング環境
  • 論理制約付き項書換え系に基づく並行プログラム検証の適用範囲の拡大
  • 車載ネットワーク侵入検知の実用性能評価とデータセットの整備
  • 機械学習コンポーネントを含むシステムの安全設計と保証ケース

まず読むならこの解説

専門の論文より先に、日本語で書かれた次の解説から入るのがおすすめです。

  • 自動車分野のCASE革命とサイバーセキュリティ

    松原豊, 倉地亮, 高田広章, 情報処理, 2020年4月号.

このテーマの公開ソフトウェア・プロジェクト

このテーマに関連する論文・記事

論文・発表の一覧を見る
  • 2026

    Outlier-Ratio Feature Augmentation for Graph-based Intrusion Detection in CAN Networks

    Akari Sasaki, Ryo Kurachi, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada

    IEEE Consumer Communications & Networking Conference (CCNC 2026), Las Vegas, Jan. 2026

    車載ネットワークCANへの攻撃をグラフ構造で検知する侵入検知手法に、外れ値の割合という特徴量を加えて検知精度を高める手法を提案した論文です。通信をグラフとして表し、外れ値となるメッセージの割合を手がかりにすることで、正常な通信と攻撃を区別しやすくします。CAN自体に防御機能がないため、こうした検知技術が重要になります。

  • 2026

    CAN向けグラフベース侵入検知システムにおけるウィンドウパラメータの影響評価

    佐々木あかり, 倉地亮, 松原豊, 高田広章

    情報処理学会 CSEC研究会, 2026年1月

  • 2025

    Transforming Concurrent Programs with Semaphores into Logically Constrained Term Rewrite Systems

    Misaki Kojima, Naoki Nishida, Yutaka Matsubara

    Journal of Logical and Algebraic Methods in Programming, Vol.143, pp.1-23

    セマフォ(同時アクセスを制限する仕組み)を使う並行プログラムを、数学的に検証しやすい形式モデル(論理制約付き項書換え系)へ変換する方法を示した論文です。書換え系に変換すれば既存の解析技術で性質を厳密に調べられるため、テストでは見つけにくい並行バグの検証に役立ちます。ワークショップでの発表を発展させた論文誌版です。

    リンク

  • 2025

    CAN向けグラフベース侵入検知システムの課題分析と特徴量拡張

    佐々木あかり, 倉地亮, 松原豊, 高田広章

    情報処理学会 CSEC研究会, 2025年10月

  • 2024

    Multilingual Investigation of Cross-Project Code Clones in Open-Source Software for Internet of Things Systems

    Wenqing Zhu, Norihiro Yoshida, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada

    IEEE Access, Vol.12, pp.179104-179118

    IoT向けオープンソースソフトウェアを対象に、プロジェクトをまたいで存在するコードクローン(コピーされたコード片)を複数言語で調査した論文です。同じコードが複数のプロジェクトにあると、片方で直したバグがもう片方に残ることがあります。言語の異なるプロジェクト間のクローンまで調べた点が特徴で、修正漏れを防ぐ手がかりになります。

    リンク

  • 2024

    Feedback-guided Fuzzingによる並行バグ探索

    伊藤弘将, 松原豊, 高田広章

    情報処理学会論文誌, Vol.65, No.5, pp.927-941, May 2024

    ファジング(自動生成した入力でバグを探すテスト手法)を、スレッドの実行順序に関するフィードバックで誘導し、再現が難しい並行バグを効率よく見つける手法を提案した論文です。どの実行順序を試したかを記録し、まだ試していない怪しい順序へテストを誘導するのが鍵です。国際会議で発表したSchfuzzを発展させた論文誌版です。

    リンク

  • 2024

    Race Directed Fuzzing for More Effective Concurrency Testing

    Hiromasa Ito, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada

    The 6th International Workshop on Software Science and Engineering (WSSE 2024), Kyoto, Aug 2024

    ファジング(自動生成した入力でバグを探すテスト手法)を、データ競合が疑われる実行順序へ意図的に誘導し、並行バグをより効果的に見つける手法を提案した論文です。実行順序をやみくもに試すのではなく、競合が起きそうな箇所に的を絞ってテストの労力を使います。並行バグは再現が難しいため、この的の絞り方が効果を左右します。

  • 2024

    CAN侵入検知アルゴリズムの性能評価

    佐々木あかり, 倉地亮, 松原豊, 高田広章

    分散、協調とモバイル(DICOMO2024)シンポジウム, pp.205-214, 岩手県花巻市, Jun 2024

  • 2024

    道路交通標識を対象とした影挿入による敵対的攻撃

    戸本航平, 倉地亮, 松原豊, 高田広章

    暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2024), Jan 2024

    リンク

  • 2024

    ハミング距離を用いたシグナルベースCANIDSの提案とデータセットでの検証

    佐々木あかり, 倉地亮, 松原豊, 高田広章

    コンピュータセキュリティシンポジウム(CSS)2024, 兵庫県神戸市神戸国際会議場, Oct 2024

  • 2023

    Schfuzz: Detecting Concurrency Bugs with Feedback-Guided Fuzzing

    Hiromasa Ito, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada

    18th International Conference on Evaluation of Novel Approaches to Software Engineering (ENASE 2023), Prague, pp.273-282, Apr 2023

    スレッドの実行順序をファジング(自動生成した入力でバグを探すテスト手法)の対象とし、フィードバックで探索を誘導して並行バグを見つけるツールSchfuzzを提案した論文です。入力データではなくスレッドの実行順序そのものを探索対象とする点が特徴です。後の論文誌版の基になった研究です。

    リンク

  • 2023

    組込みシステムシミュレータを用いたファジング

    元田匡哉, 伊藤弘将, 松原豊, 高田広章

    第62回組込みシステム合同研究発表会(ETNET2023)

    リンク

  • 2022

    マイコン向けRTOS対応Control-Flow Integrity機構の設計と実装

    河田智明, 本田晋也, 松原豊, 高田広章

    コンピュータソフトウェア, Vol.39, No.2, May 2022

    プログラムの実行の流れを乗っ取る攻撃を防ぐCFI(制御フロー完全性)機構を、マイコン上のRTOS(リアルタイムOS)に対応させて設計・実装した論文です。RTOSがタスクを切り替えたり割込みを処理したりしても保護が破綻しないよう設計されている点が特徴です。修正の難しい小さな組込み機器の防御強化につながります。

    リンク

  • 2022

    善吾賞「ミドルウェアに対するCoverage-based Greybox Fuzzingの適用」

    伊藤弘将, 松原豊, 高田広章

    NPO法人ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER)

  • 2021

    ミドルウェアに対するCoverage-based Greybox Fuzzingの適用

    伊藤弘将, 松原豊, 高田広章

    情報処理学会論文誌, Vol.62, No.3, pp.877-890, Mar 2021

    ファジング(自動生成した入力でバグを探すテスト手法)を、単体では動かせないミドルウェアに適用する方法を示した論文です。ミドルウェアを動かすための呼び出し環境を用意し、カバレッジ(どのコードを実行したかの情報)で入力生成を誘導します。実績あるバグ発見手法を、そのままでは適用できない種類のソフトウェアにも使えるようにします。

    リンク

  • 2021

    Quantitative Security Assurance Case for In-vehicle Embedded Systems

    Zhengshu Zhou, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada

    CyberSciTech/PICom/DASC/CDBCom 2021, pp.43-50, Oct 2021

    車載組込みシステムが十分に安全であることを、根拠を構造化して示す「アシュアランスケース」に定量的な評価を組み込む手法を提案した論文です。根拠に数値を添えることで、対策が十分かどうかの判断や案どうしの比較がしやすくなります。セキュリティ対策の妥当性を第三者に説明する際に役立ちます。

    リンク

  • 2020

    つながる!基礎技術 IoT入門(第2章 セキュリティ)

    渡辺晴美, 今村誠, 久住憲嗣(編著)

    コロナ社

    IoT入門書のセキュリティの章です。ネットワークにつながる機器がどのような経路で攻撃を受けるのか、暗号や認証といった基本的な守り方がどう働くのかを解説しています。IoTをこれから学ぶ人が、セキュリティの全体像をつかむための入り口になる内容です。

    第2章「セキュリティ」を松原豊が執筆。

  • 2020

    自動車分野のCASE革命とサイバーセキュリティ

    松原豊, 倉地亮, 高田広章

    情報処理 2020年4月号特集 新たなモビリティ時代のサイバーセキュリティ, Vol.61, No.4, pp.338-343, Mar 2020

    コネクテッド化や自動運転などのCASEと呼ばれる変化により、自動車に求められるサイバーセキュリティ対策がどう変わるかを解説した記事です。車が外部ネットワークとつながりソフトウェア更新も遠隔で行われるようになると攻撃の入り口が増えるため、開発から運用までを通した防御が必要になります。自動車分野になじみのない読者にも全体像がわかるようにまとめています。

  • 2020

    TZmCFI: RTOS-Aware Control-Flow Integrity Using TrustZone for Armv8-M

    Tomoaki Kawada, Shinya Honda, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada

    International Journal of Parallel Programming, Vol.49, pp.136-150

    Armマイコンのセキュリティ機能TrustZoneを利用し、RTOSの割込み処理とも両立する、実行の乗っ取りを防ぐCFI機構TZmCFIを提案した論文です。TrustZoneの隔離領域に保護用の情報を置くことで攻撃者による改ざんを防ぎ、タスク切替えや割込みが起きても保護が保たれます。大型計算機のような防御機構を持たない小さな機器を守れます。

    リンク

  • 2020

    Agile Software Design Verification and Validation (V&V) for Automated Driving

    Yixiao Li, Yutaka Matsubara, Daniel Olbrys, Kazuhiro Kajio, Hiroaki Takada

    Proceedings of FISITA 2020, Oct 2020

    自動運転ソフトウェアの検証・妥当性確認(V&V)を、アジャイル開発の短い反復の中で継続的に行うアプローチを提案した論文です。検証を自動化して短い開発サイクルに組み込むことで、頻繁な変更のたびに品質を確認できます。開発スピードと安全性確認の両立を目指すものです。

    リンク

  • 2020

    Transforming Concurrent Programs with Semaphores into Logically Constrained Term Rewrite Systems

    Misaki Kojima, Naoki Nishida, Yutaka Matsubara

    Informal Proceedings of WPTE 2020, Jun 2020

    セマフォを使う並行プログラムを、形式的な解析が可能な論理制約付き項書換え系へ変換する方法を示したワークショップ論文です。書換え系として表すことで、並行動作の性質を数学的に厳密に検証する道が開けます。後の学術論文誌版の基になった研究です。

    リンク

  • 2020

    排他制御を用いたプログラムから論理制約付き項書換え系への変換

    小嶋美咲, 西田直樹, 松原豊, 酒井正彦

    情報処理学会 第56回 組込みシステム研究発表会

  • 2020

    ミドルウェアに対するCoverage-based Greybox Fuzzing

    伊藤弘将, 松原豊, 高田広章

    第54回EMB合同研究発表会(ETNET2020)

    リンク

  • 2020

    IoT機器の軽量セキュア通信におけるQUICの性能評価

    小松大河, 松原豊, 高田広章

    第54回EMB合同研究発表会(ETNET2020)

  • 2020

    Safety Design Concepts for Statistical Machine Learning Components toward Accordance with Functional Safety Standards

    Akihisa Morikawa, Yutaka Matsubara

    SEAMS Project

    リンク

  • 2020

    特選論文「ミドルウェアに対するCoverage-based Greybox Fuzzingの適用」

    伊藤弘将, 松原豊, 高田広章

    情報処理学会論文誌, Vol.62, No.3

  • 2019

    Shadow Exception Stacks: Control-Flow Integrity for Asynchronous Exceptions Using TrustZone for Armv8-M

    Tomoaki Kawada, Shinya Honda, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada

    IESS 2019, LNCS Vol.11937, pp.56-71, Friedrichshafen, Nov 2019

    Armマイコンのセキュリティ機能TrustZoneを使い、割込み(非同期例外)の処理まで制御フロー完全性の保護を広げる「シャドウ例外スタック」を提案した論文です。割込みはいつでも発生するため通常の保護では扱いにくいのですが、戻り先の情報をTrustZone内に安全に記録することで対応します。非同期例外を考慮しない従来のCFI機構の弱点を補う研究です。

  • 2019

    Shadow Exception Stacks: 非同期例外に対するTrustZone-MベースCFI

    河田智明, 本田晋也, 松原豊, 高田 広章

    第51回組込みシステム合同研究発表会(ETNET2019)

  • 2018

    つながる社会とクルマのセーフティ&セキュリティの動向と展望

    松原豊, 倉地亮, 高田広章

    自動車技術 2018年5月号 特集:コネクティビティ:つながる社会とクルマ, Vol.72, No.5, pp.87-93, May 2018

    クルマが社会とつながる時代のセーフティ(安全)とセキュリティ(防御)について、最新動向と今後の展望を整理した解説記事です。車がネットワークにつながると、故障への備えと攻撃への備えを切り離して考えられなくなることを説明しています。関連する規格や研究の方向性も紹介しており、分野の全体像をつかめます。

  • 2018

    IDH-CAN: A Hardware-Based ID Hopping CAN Mechanism With Enhanced Security for Automotive Real-Time Applications

    Wufei Wu, Ryo Kurachi, Gang Zeng, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada, Renfa Li, Keqin Li

    IEEE Access, Vol.6, pp.54607-54623

    車載ネットワークCANのメッセージIDを定期的に変化させ、攻撃者がなりすましにくくするハードウェア機構IDH-CANを提案した論文です。CANでは固定のIDでメッセージを識別するため、IDを変え続けることで攻撃の標的を絞りにくくします。ハードウェア実装により、制御に不可欠なリアルタイム性を損なわずに防御を追加できる点が特徴です。

    リンク

  • 2018

    AUTOSAR OS仕様準拠TOPPERS/ATK2を対象とした機能安全規格ISO 26262対応における安全分析事例

    毛利守男, 佐藤秀昭, 山下映, 松原豊, 高田広章

    情報処理学会論文誌, Vol.59, No.2, pp.785-794, Feb 2018

    AUTOSAR仕様準拠の車載OSであるTOPPERS/ATK2を対象に、自動車の機能安全規格ISO 26262に対応するための安全分析を実施した事例を報告した論文です。多くの製品が共通に使うRTOSを対象に、安全分析手法をどう適用するかを具体的に示しています。同じ規格対応に取り組む技術者の参考になる事例です。

  • 2018

    FRAM/STPA: Hazard Analysis Method for FRAM Model

    Yoshinari Toda, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada

    FRAMily 2018, pp.1-17, Cardiff, Jun 2018

    業務のばらつきの連鎖を表すFRAMモデルに、制御の観点から危険要因を洗い出すSTPAの考え方を組み合わせたハザード分析手法FRAM/STPAを提案した論文です。ばらつきの伝わり方を示すFRAMと、制御の不備を問うSTPAを組み合わせることで、どちらか一方では見落としがちな危険要因を洗い出せます。人と技術が関わり合う複雑なシステムの分析に向いています。

    リンク

  • 2018

    Arm TrustZone for Armv8-M を利用したマルチタスク対応 CFI の検討

    河田智明, 本田晋也, 松原豊, 高田広章

    組込みシステムシンポジウム2018論文集, pp.71-74, 下呂, Aug 2018

    リンク

  • 2018

    IoTデバイスのためのTLS 1.3の性能評価

    小松大河, 松原豊, 高田広章

    第51回組込みシステム合同研究発表会(ETNET2019)

  • 2018

    組込みネットワークスタック lwIPのバグ発見のためのシンボリック実行環境

    青木克憲, 松原豊, 高田広章

    第47回組込みシステム合同研究発表会(ETNET2018)

  • 2018

    Arm TrustZone for Armv8-M を利用したマルチタスク対応 CFI

    河田智明, 本田晋也, 松原豊, 高田 広章

    第20回組込みシステム技術に関するサマーワークショップ (SWEST20), 下呂市, Aug 2018

  • 2017

    自動車分野のセーフティとセキュリティの動向と展望 -自律走行の実現に向けて-

    松原豊, 倉地亮, 高田広章

    情報処理 2017年11月号特集 IoT時代のセーフティとセキュリティ -日本の産業競争力の強化に向けて-, Vol.58, No.11, Oct 2017

    自律走行の実現に向けて、自動車のセーフティとセキュリティの技術動向を整理した解説記事です。故障に備える安全設計とサイバー攻撃への防御は互いに影響し合うため、両者を組み合わせて考える必要があることを説明しています。個別の技術を学ぶ前に全体像をつかむのに向いた内容です。

  • 2017

    自動車セキュリティの現状とIoT

    松原豊

    機能材料 2017年6月号 連載 IoT時代のセキュリティ対策-繋がる時代に求められる安心・安全-, シーエムシー出版, 2017

    IoT時代における自動車セキュリティの現状を紹介した連載記事です。スマートフォン連携や遠隔操作といった便利さの裏で新たに生まれる攻撃経路と、業界で進む対策の方向性を解説しています。ソフトウェア分野になじみのない読者にも読みやすい内容です。

  • 2017

    IDHCC: A Security-Enhanced ID Hopping CAN Controller Design to Guarantee Real-Time

    Wufei Wu, Ryo Kurachi, Gang Zeng, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada, Renfa Li

    CERTS 2017, pp.14-21, Jun 2017

    車載ネットワークCANのメッセージIDを動的に変化させて攻撃を難しくしつつ、リアルタイム性を保証するCANコントローラIDHCCを設計した論文です。送信側と受信側が同じ規則でIDを切り替えるため、通信を壊さずに防御を追加できます。後のIDH-CANの論文誌版につながる設計研究です。

    リンク

  • 2017

    組込みシステム向けのポータブルDoSテストツール

    長柄啓悟, 青木克憲, 松原豊, 高田広章

    組込みシステムシンポジウム(ESS2017)WiP, 下呂, Aug 2017

    リンク

  • 2017

    Miraiマルウェアの組込みシステムに対する攻撃性能評価

    長柄啓悟, 松原豊, 青木克憲, 高田広章

    第46回組込みシステム合同研究発表会

    リンク

  • 2017

    Open-source software-based portable DoS test tool for IoT devices

    Keigo Nagara, Katsunori Aoki, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada

    Workshop on Internet of Things Security and Privacy Collocated with ACM CCS, Dallas, Nov 2017

  • 2016

    HAZOP-Based Security Analysis for Embedded Systems: Case Study of Open Source Immobilizer Protocol Stack

    Jingxuan Wei, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada

    Recent Advances in Systems Safety and Security, Springer, pp.79-96

    HAZOP(設計のずれを系統的に洗い出す分析手法)を組込みシステムのセキュリティ分析に応用した章です。自動車の盗難防止装置(イモビライザ)のオープンソース実装を題材に、意図した動作からのずれを手がかりに弱点を見つける手順を示しています。先行するワークショップ発表の内容を書籍向けに発展させたものです。

  • 2016

    車載機器のセキュリティと安全性

    倉地亮, 松原豊, 高田広章

    情報処理 2016年7月号小特集 乗り物の情報セキュリティと安全性, Vol.57, No.7, Jun 2016

    車載機器のセキュリティと安全性の関係を解説した記事です。攻撃への防御と故障時の安全確保をどう両立させるかという、車載システム特有の課題を紹介しています。攻撃によって安全設計の前提が崩れる例を挙げ、両者を一体で設計する考え方を説明しています。

  • 2016

    メッセージ認証を用いたCANの集中監視システム

    倉地亮, 松原豊, 高田広章, 上田浩史, 堀端啓史

    電子情報通信学会論文誌, Vol.J99-A, No.2, pp.118-130, Feb 2016

    車載ネットワークCANに監視ノードを1台置き、メッセージ認証で不正なメッセージを検出・排除する集中監視方式CaCANを提案した論文です。監視ノードがメッセージ認証コードを検査し、不正なフレームを効力が生じる前に無効化します。追加するのは1台だけなので既存の車載ネットワークに導入しやすく、国際会議escar 2014での発表を発展させた論文誌版です。

  • 2016

    An Aiding Tool for HAZOP-based Analysis for Embedded Systems

    魏景軒, 松原豊, 高田広章

    第14回クリティカルソフトウェアワークショップ(WOCS2), 東京, Dec 2016

  • 2016

    機能安全対応に向けたAUTOSAR OSの安全分析手法

    毛利守男, 佐藤秀昭, 平林寛崇, 山下映, 松原豊, 高田広章

    組込みシステムシンポジウム(ESS2016), 東京, Oct 2016

    リンク

  • 2016

    HAZOP-based Security Analysis for Embedded Systems

    魏景軒, 松原豊, 高田広章

    第13回クリティカルソフトウェアワークショップ(WOCS2), 東京, Jan 2016

  • 2015

    HAZOP-based Security Analysis for Embedded Systems: Case Study of Open Source Immobilizer Protocol Stack

    Jingxuan Wei, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada

    Proceedings of the 3rd International Workshop on Systems Safety & Security (IWSSS2015), Bucharest, Jun 2015

    設計からのずれを系統的に洗い出すHAZOPをセキュリティ分析に応用し、自動車の盗難防止装置(イモビライザ)のオープンソース実装を分析した事例研究の論文です。「意図した動作からのずれ」を表すガイドワードをセキュリティの観点で読み替え、安全分析の手法を攻撃につながる弱点探しに転用します。後に書籍の章として発展した研究です。

  • 2015

    データストリーム管理システムの検証環境

    中井将貴, 松原豊, 高田広章, 山口晃広

    第44回組込みシステム合同研究発表会(ETNET2016)

    リンク

  • 2014

    CaCAN - Centralized Authentication System in CAN

    Ryo Kurachi, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada, Naoki Adachi, Yukihiro Miyashita, Satoshi Horihata

    Proceedings of the escar 2014 Europe, pp. 1-9, Hamburg, Nov 2014

    車載ネットワークCANに監視ノードを置き、メッセージ認証で不正な通信を検出・排除する集中監視方式CaCANを、自動車セキュリティの国際会議escarで発表した論文です。監視ノードがバス上のメッセージを認証し、不正なものを無効化するため、既存の車載ネットワークをほとんど変えずに導入できます。後の論文誌版の基になった研究です。

    リンク

  • 2014

    次世代自動車向けセキュリティ対応ソフトウェアプラットフォームの研究開発

    後藤孝一, 服部博行, 杉山歩, 原浩晃, 高田広章, 松原豊, 水口大知, 高橋孝一

    組込みシステムシンポジウム(ESS2014), 東京, Oct 2014

  • 2013

    組込みシステムにおけるソフトウェア障害の安全対策

    松原豊, 高田広章

    コンピュータソフトウェア, Vol.30, No.1, pp.119-129, Jan 2013

    組込みシステムのソフトウェアに欠陥が残っていても事故につながらないようにするための安全対策(異常の検出や安全な状態への移行など)を整理・提案した論文です。テストだけですべての欠陥を取り除くのは難しいため、動作中に異常を検出し、被害が出る前に安全な状態へ移ることが重要になります。資源の限られた組込みシステムで使える具体的な対策をまとめています。

  • 2013

    組込みシステムにおける階層型状態遷移図に基づく安全分析手法

    金周慧, 松原豊, 高田広章

    電子情報通信学会論文誌, Vol.J96-A, No.1, pp.34-48, Jan 2013

    システムの動きを階層的な状態遷移図で表し、危険な振る舞いを系統的に洗い出す組込みシステム向けの安全分析手法を提案した論文です。状態を階層に分けて整理することで、状態数が多い大規模なシステムでも分析の見通しがよくなります。設計段階で危険を見つけて事故を防ぐのに役立ちます。

  • 2012

    状態遷移図に着目した安全分析手法

    金周慧, 松原豊, 高田広章

    電子情報通信学会論文誌, Vol.J95-A, No.2, pp.198-209, Feb 2012

    システムの設計でよく使われる状態遷移図に着目し、危険な状態に至る条件を系統的に見つけ出す安全分析手法を提案した論文です。状態遷移図は組込み設計で広く使われているため、慣れた図をそのまま安全分析に生かせます。設計段階で危険な条件を見つけ、事故を未然に防ぐのに役立ちます。

  • 2012

    Safety Analysis Method Based on Parallel State Transition Diagram for Embedded Systems

    Zoohaye Kim, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada

    SEA 2012, pp.417-425, Las Vegas, Nov 2012

    並行に動作する構成要素を並列状態遷移図で表し、組込みシステムの危険な振る舞いを系統的に分析する安全分析手法を提案した論文です。並行に動く要素どうしの思わぬ組合せは事故の典型的な原因であり、並列の図で表すことでその組合せを漏れなく調べられます。設計段階で危険を見つけて事故を防ぐのに役立ちます。

    リンク

  • 2012

    並列状態遷移図を用いた組込みシステム向け安全性分析手法

    金周慧, 松原豊, 高田広章

    組込みシステムシンポジウム(ESS2012)論文集, 東京, Oct 2012

    リンク

  • 2012

    組込みシステムにおける並列状態遷移図に基づく安全分析手法

    金周慧, 松原豊, 高田広章

    組込みシステムシンポジウム(ESS2012)

  • 2012

    階層型状態遷移図を基にした安全性分析手法

    金周慧, 松原豊, 高田広章

    第30回EMB合同研究発表会, 鳥取, Mar 2012

  • 2011

    階層型状態遷移図を基にした安全性分析手法

    金周慧, 松原豊, 高田広章

    第12回組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST12), 浜松, Sep 2011

  • 2011

    状態遷移図に注目した安全要求分析手法

    金周慧, 松原豊, 高田広章

    第8回クリティカルソフトウェアワークショップ(WOCS2011)

  • 2011

    階層型状態遷移図を基にした安全性分析手法

    金周慧, 松原豊, 高田広章

    第13回組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST13), 下呂, Sep 2011

  • 2011

    小規模組込みシステム設計における安全性要求分析事例

    金周慧, 松原豊, 高田広章

    第12回組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST12), 浜松, Sep 2010

  • 2010

    組込みシステムにおけるソフトウェア障害の安全対策 -OSレベルの安全メカニズムの検討-

    松原豊, 本田晋也, 高田広章

    組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST12)

  • 2010

    小規模組込みシステムの設計における安全機能の事例調査

    金周慧, 松原豊, 高田広章

    Safety Engineering Symposium 2010, Tokyo

  • 2010

    組込みシステムにおけるソフトウェア障害の安全対策 -OSレベルの安全メカニズムの検討-

    松原豊, 本田晋也, 高田広章

    組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST12)

    リンク

  • 2010

    小規模組込みシステム設計における安全性要求分析事例

    金周慧, 松原豊, 高田広章

    第12回組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST12), 浜松, Sep 2010

  • 2009

    小規模組込みシステム設計の安全要求分析の事例調査

    金周慧, 松原豊, 高田広章

    組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST11)

その他の研究テーマ

01 高性能組込みリアルタイムシステムのリアルタイム性確保

機器1台の信頼

高性能組込みリアルタイムシステムのリアルタイム性確保

複数のアプリケーションが1つの計算機上で動くときでも、処理の遅れや干渉を抑え、安全に動かし続けるための方法を研究しています。

このテーマを見る

02 IoTxWeb3: IoT機器のライフサイクル管理とデータ流通

つながる機器の信頼

IoTxWeb3: IoT機器のライフサイクル管理とデータ流通

IoT 機器とブロックチェーン、スマートコントラクトを組み合わせて、機器の利用許可やデータ共有を分かりやすく管理する仕組みを研究しています。

このテーマを見る

03 システムオブシステムズのモデリングと総合信頼性

システムの集合体の信頼

システムオブシステムズのモデリングと総合信頼性

System of Systems(複数の独立したシステムが連携して創発的な目的を果たす仕組み)を、自律的に意思決定する主体が相互作用する社会技術システムとして捉え、その全体挙動と総合信頼性(英語では dependability)を設計する新しい工学の確立を目指しています。

このテーマを見る