詳細
背景
組込みシステムのソフトウェアは規模が大きくなり、多数の処理が並行して動くものが増えています。こうしたソフトウェアでは、タイミングに依存してまれにしか現れない不具合が生じやすく、従来のテストでは見つけにくいという問題があります。
研究プロジェクト
3つの研究テーマに共通する土台として、作ったシステムが本当に信頼できるかを確かめ、その根拠を説明するための技術を研究しています。並行プログラムのファジング、形式手法による検証、セキュリティ分析、保証ケースなどが対象です。
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組込みシステムのソフトウェアは規模が大きくなり、多数の処理が並行して動くものが増えています。こうしたソフトウェアでは、タイミングに依存してまれにしか現れない不具合が生じやすく、従来のテストでは見つけにくいという問題があります。
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安全性やセキュリティは「テストで問題が出なかった」というだけでは十分に説明できません。どのような根拠でシステムを信頼してよいのかを、体系立てて示す方法が必要です。
つまり課題は2つあります。めったに現れない不具合をどう効率よく見つけるか。そして、残ったシステムを信頼してよいことを、どう根拠付けて示すか、です。
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ファジング(プログラムに自動生成した入力を大量に与えて不具合を見つける手法)を並行プログラムやミドルウェアに適用しています。スレッドの実行順序まで探索の対象に含めることで、通常のテストではめったに現れない並行性バグを効率よく見つけ出します。
また、セマフォを使った並行プログラムを論理制約付き項書換え系という数学的なモデルに変換し、その性質を厳密に検証する形式手法の研究を、プログラミング言語分野の研究者と共同で進めています。
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車載ネットワーク(CAN)への侵入検知や、HAZOP を応用したセキュリティ分析など、システムの弱点を体系的に洗い出す手法を研究しています。
さらに、システムが安全・セキュアであることの根拠を構造化して示す保証ケース(アシュアランスケース)と、その定量的な評価との組み合わせにも取り組んでいます。
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ファジングの系列では、ミドルウェアへの Coverage-based Greybox Fuzzing の適用(情報処理学会論文誌, 2021)が特選論文に選ばれ、善吾賞を受賞しました。その後、スレッドの実行順序をフィードバック付きで探索する Schfuzz(ENASE 2023)、データレースに狙いを定めた Race Directed Fuzzing(WSSE 2024)へと発展しています。
形式手法では、セマフォを使う並行プログラムを論理制約付き項書換え系に変換する手法を、プログラミング言語分野の研究者と共同で確立しました(Journal of Logical and Algebraic Methods in Programming, 2025)。
車載セキュリティでは、ID ホッピングで CAN を守る IDH-CAN(IEEE Access, 2018)や集中認証方式 CaCAN(2014)といった防御から、グラフベースの侵入検知(CCNC 2026)まで、攻撃の検知と防御の両面で成果を挙げてきました。RTOS と連携する制御フロー保全機構 TZmCFI(International Journal of Parallel Programming, 2020)、HAZOP を応用したセキュリティ分析(Springer, 2016)、車載システムの定量的セキュリティ保証ケース(2021)など、分析から保証までを一貫して扱っています。
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このテーマは、組込みシステム、IoT、System of Systems という3つの研究テーマすべてに関わる横断的な技術です。対象のスケールが変わっても、「作ったものの信頼をどう確かめ、どう説明するか」という問いは共通しています。
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検証の技術が進むと、人手のテストでは見つけられなかった不具合を出荷前に発見でき、製品の事故やリコールを減らせます。
さらに保証ケースを使えば、「なぜ安全だと言えるのか」を根拠付きで説明できます。開発者の自信だけに頼らず、利用者や社会がシステムを信頼するための共通の土台を作ることが、このテーマの目標です。
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検証・保証の技術を、一部の専門家の道具から、ビルドやテストと同じように日常の開発に組み込まれる存在に変えることを目指しています。
ファジングや形式手法が自動で回り続け、その結果が保証ケースとして積み上がり、開発者・発注者・利用者の間の共通言語になる。そのための理論と道具立てを整えていきます。
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検証の対象は、並行プログラムから分散システム、機械学習を含むシステムへと広がっています。学生の研究テーマも、次のような方向性のなかから相談して決めていきます。
初めて学ぶ人へ
専門の論文より先に、日本語で書かれた次の解説から入るのがおすすめです。
松原豊, 倉地亮, 高田広章, 情報処理, 2020年4月号.
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ミドルウェアに対するCoverage-based Greybox Fuzzingの適用伊藤弘将, 松原豊, 高田広章
情報処理学会論文誌, Vol.62, No.3, pp.877-890, Mar 2021
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Quantitative Security Assurance Case for In-vehicle Embedded SystemsZhengshu Zhou, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada
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つながる!基礎技術 IoT入門(第2章 セキュリティ)渡辺晴美, 今村誠, 久住憲嗣(編著)
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第2章「セキュリティ」を松原豊が執筆。
2020
自動車分野のCASE革命とサイバーセキュリティ松原豊, 倉地亮, 高田広章
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TZmCFI: RTOS-Aware Control-Flow Integrity Using TrustZone for Armv8-MTomoaki Kawada, Shinya Honda, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada
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Agile Software Design Verification and Validation (V&V) for Automated DrivingYixiao Li, Yutaka Matsubara, Daniel Olbrys, Kazuhiro Kajio, Hiroaki Takada
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Transforming Concurrent Programs with Semaphores into Logically Constrained Term Rewrite SystemsMisaki Kojima, Naoki Nishida, Yutaka Matsubara
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Safety Design Concepts for Statistical Machine Learning Components toward Accordance with Functional Safety StandardsAkihisa Morikawa, Yutaka Matsubara
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特選論文「ミドルウェアに対するCoverage-based Greybox Fuzzingの適用」伊藤弘将, 松原豊, 高田広章
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Shadow Exception Stacks: Control-Flow Integrity for Asynchronous Exceptions Using TrustZone for Armv8-MTomoaki Kawada, Shinya Honda, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada
IESS 2019, LNCS Vol.11937, pp.56-71, Friedrichshafen, Nov 2019
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Shadow Exception Stacks: 非同期例外に対するTrustZone-MベースCFI河田智明, 本田晋也, 松原豊, 高田 広章
第51回組込みシステム合同研究発表会(ETNET2019)
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つながる社会とクルマのセーフティ&セキュリティの動向と展望松原豊, 倉地亮, 高田広章
自動車技術 2018年5月号 特集:コネクティビティ:つながる社会とクルマ, Vol.72, No.5, pp.87-93, May 2018
2018
IDH-CAN: A Hardware-Based ID Hopping CAN Mechanism With Enhanced Security for Automotive Real-Time ApplicationsWufei Wu, Ryo Kurachi, Gang Zeng, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada, Renfa Li, Keqin Li
IEEE Access, Vol.6, pp.54607-54623
2018
AUTOSAR OS仕様準拠TOPPERS/ATK2を対象とした機能安全規格ISO 26262対応における安全分析事例毛利守男, 佐藤秀昭, 山下映, 松原豊, 高田広章
情報処理学会論文誌, Vol.59, No.2, pp.785-794, Feb 2018
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FRAM/STPA: Hazard Analysis Method for FRAM ModelYoshinari Toda, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada
FRAMily 2018, pp.1-17, Cardiff, Jun 2018
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Arm TrustZone for Armv8-M を利用したマルチタスク対応 CFI の検討河田智明, 本田晋也, 松原豊, 高田広章
組込みシステムシンポジウム2018論文集, pp.71-74, 下呂, Aug 2018
2018
IoTデバイスのためのTLS 1.3の性能評価小松大河, 松原豊, 高田広章
第51回組込みシステム合同研究発表会(ETNET2019)
2018
組込みネットワークスタック lwIPのバグ発見のためのシンボリック実行環境青木克憲, 松原豊, 高田広章
第47回組込みシステム合同研究発表会(ETNET2018)
2018
Arm TrustZone for Armv8-M を利用したマルチタスク対応 CFI河田智明, 本田晋也, 松原豊, 高田 広章
第20回組込みシステム技術に関するサマーワークショップ (SWEST20), 下呂市, Aug 2018
2017
自動車分野のセーフティとセキュリティの動向と展望 -自律走行の実現に向けて-松原豊, 倉地亮, 高田広章
情報処理 2017年11月号特集 IoT時代のセーフティとセキュリティ -日本の産業競争力の強化に向けて-, Vol.58, No.11, Oct 2017
2017
自動車セキュリティの現状とIoT松原豊
機能材料 2017年6月号 連載 IoT時代のセキュリティ対策-繋がる時代に求められる安心・安全-, シーエムシー出版, 2017
2017
IDHCC: A Security-Enhanced ID Hopping CAN Controller Design to Guarantee Real-TimeWufei Wu, Ryo Kurachi, Gang Zeng, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada, Renfa Li
CERTS 2017, pp.14-21, Jun 2017
2017
組込みシステム向けのポータブルDoSテストツール長柄啓悟, 青木克憲, 松原豊, 高田広章
組込みシステムシンポジウム(ESS2017)WiP, 下呂, Aug 2017
2017
Miraiマルウェアの組込みシステムに対する攻撃性能評価長柄啓悟, 松原豊, 青木克憲, 高田広章
第46回組込みシステム合同研究発表会
2017
Open-source software-based portable DoS test tool for IoT devicesKeigo Nagara, Katsunori Aoki, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada
Workshop on Internet of Things Security and Privacy Collocated with ACM CCS, Dallas, Nov 2017
2016
HAZOP-Based Security Analysis for Embedded Systems: Case Study of Open Source Immobilizer Protocol StackJingxuan Wei, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada
Recent Advances in Systems Safety and Security, Springer, pp.79-96
2016
車載機器のセキュリティと安全性倉地亮, 松原豊, 高田広章
情報処理 2016年7月号小特集 乗り物の情報セキュリティと安全性, Vol.57, No.7, Jun 2016
2016
メッセージ認証を用いたCANの集中監視システム倉地亮, 松原豊, 高田広章, 上田浩史, 堀端啓史
電子情報通信学会論文誌, Vol.J99-A, No.2, pp.118-130, Feb 2016
2016
An Aiding Tool for HAZOP-based Analysis for Embedded Systems魏景軒, 松原豊, 高田広章
第14回クリティカルソフトウェアワークショップ(WOCS2), 東京, Dec 2016
2016
機能安全対応に向けたAUTOSAR OSの安全分析手法毛利守男, 佐藤秀昭, 平林寛崇, 山下映, 松原豊, 高田広章
組込みシステムシンポジウム(ESS2016), 東京, Oct 2016
2016
HAZOP-based Security Analysis for Embedded Systems魏景軒, 松原豊, 高田広章
第13回クリティカルソフトウェアワークショップ(WOCS2), 東京, Jan 2016
2015
HAZOP-based Security Analysis for Embedded Systems: Case Study of Open Source Immobilizer Protocol StackJingxuan Wei, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada
Proceedings of the 3rd International Workshop on Systems Safety & Security (IWSSS2015), Bucharest, Jun 2015
2015
データストリーム管理システムの検証環境中井将貴, 松原豊, 高田広章, 山口晃広
第44回組込みシステム合同研究発表会(ETNET2016)
2014
CaCAN - Centralized Authentication System in CANRyo Kurachi, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada, Naoki Adachi, Yukihiro Miyashita, Satoshi Horihata
Proceedings of the escar 2014 Europe, pp. 1-9, Hamburg, Nov 2014
2014
次世代自動車向けセキュリティ対応ソフトウェアプラットフォームの研究開発後藤孝一, 服部博行, 杉山歩, 原浩晃, 高田広章, 松原豊, 水口大知, 高橋孝一
組込みシステムシンポジウム(ESS2014), 東京, Oct 2014
2013
組込みシステムにおけるソフトウェア障害の安全対策松原豊, 高田広章
コンピュータソフトウェア, Vol.30, No.1, pp.119-129, Jan 2013
2013
組込みシステムにおける階層型状態遷移図に基づく安全分析手法金周慧, 松原豊, 高田広章
電子情報通信学会論文誌, Vol.J96-A, No.1, pp.34-48, Jan 2013
2012
状態遷移図に着目した安全分析手法金周慧, 松原豊, 高田広章
電子情報通信学会論文誌, Vol.J95-A, No.2, pp.198-209, Feb 2012
2012
Safety Analysis Method Based on Parallel State Transition Diagram for Embedded SystemsZoohaye Kim, Yutaka Matsubara, Hiroaki Takada
SEA 2012, pp.417-425, Las Vegas, Nov 2012
2012
並列状態遷移図を用いた組込みシステム向け安全性分析手法金周慧, 松原豊, 高田広章
組込みシステムシンポジウム(ESS2012)論文集, 東京, Oct 2012
2012
組込みシステムにおける並列状態遷移図に基づく安全分析手法金周慧, 松原豊, 高田広章
組込みシステムシンポジウム(ESS2012)
2012
階層型状態遷移図を基にした安全性分析手法金周慧, 松原豊, 高田広章
第30回EMB合同研究発表会, 鳥取, Mar 2012
2011
階層型状態遷移図を基にした安全性分析手法金周慧, 松原豊, 高田広章
第12回組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST12), 浜松, Sep 2011
2011
状態遷移図に注目した安全要求分析手法金周慧, 松原豊, 高田広章
第8回クリティカルソフトウェアワークショップ(WOCS2011)
2011
階層型状態遷移図を基にした安全性分析手法金周慧, 松原豊, 高田広章
第13回組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST13), 下呂, Sep 2011
2011
小規模組込みシステム設計における安全性要求分析事例金周慧, 松原豊, 高田広章
第12回組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST12), 浜松, Sep 2010
2010
組込みシステムにおけるソフトウェア障害の安全対策 -OSレベルの安全メカニズムの検討-松原豊, 本田晋也, 高田広章
組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST12)
2010
小規模組込みシステムの設計における安全機能の事例調査金周慧, 松原豊, 高田広章
Safety Engineering Symposium 2010, Tokyo
2010
組込みシステムにおけるソフトウェア障害の安全対策 -OSレベルの安全メカニズムの検討-松原豊, 本田晋也, 高田広章
組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST12)
2010
小規模組込みシステム設計における安全性要求分析事例金周慧, 松原豊, 高田広章
第12回組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST12), 浜松, Sep 2010
2009
小規模組込みシステム設計の安全要求分析の事例調査金周慧, 松原豊, 高田広章
組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST11)
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